戻る灯台都市の手紙第二話 時計職人の証言時計職人の店は、街でいちばん静かな通りにあった。窓辺には動かない時計ばかりが並び、どれも違う時刻で止まっている。老人は封筒を見るなり、磨いていた歯車を机に置いた。彼の指先は、何十年も時間に触れてきた人のように、かすかに油の匂いがした。「灯台印の手紙は、届く場所を先に選ぶんじゃない」老人は言った。「読む人を選ぶんだ」リトは封筒を握り直した。薄い紙の向こうに、まだ知らない誰かの夜が入っている気がした。前の話へ第一話 宛先のない封筒次の話へ作品一覧へ戻る