戻る
水槽で眠る星

試し読み

星は熱くなかった。拾い上げると、氷砂糖みたいに軽く、手のひらの上で淡く瞬いた。

姉は迷わず金魚鉢を出してきた。昔、縁日ですくった金魚が三日だけ住んでいた、丸くて小さな水槽だ。

水を張ると、星はゆっくり沈んだ。底に着く前にふわりと止まり、眠るように光を弱めた。

その夜から、僕らの部屋には空の一部があった。宿題も、扇風機の音も、麦茶の氷が鳴る音も、少しだけ宇宙に近くなった。